【テレビと認知症】介護生活でもテレビを見ないよりは見た方がいい?あと30分で変わる効果!

みなさんこんにちは。今回は、テレビが身近にある認知症との関係性、関わり方についてご紹介します。テレビを見ること自体を辞める必要はなく、関わり方を変えるだけで認知症予防になります。

テレビ視聴時間が30分違うだけで認知機能に影響する?

介護をしていると、要介護者の1日中テレビを見ている姿を見て認知症になってしまうのではと不安になりませんか。テレビを見ることが生きがいになっているから、無理に止めることも難しいですよね。

認知症とテレビに関しての研究は賛否両論

認知症とテレビに関しては様々な研究結果があります。

活発な認知活動がアルツハイマー病発症を減少するという報告は2002年にWilsonらの研究であります。また同様の研究で、男性に関してはテレビを見ている人の方が、見ていない人よりも認知症発症が少ないという報告もあります。一方、2005年のHeatherらの研究では、40歳から64歳の25年間でテレビを長時間見ていることがアルツハイマー病発症のリスクを上げる、注意力、記憶力、実行力の機能低下に繋がるという報告があります。

1日3時間の視聴と3.5時間以上の視聴でも認知機能に対する影響が変わる

積極的に参加して脳に刺激を与える創造的娯楽(絵画や運動など)と違い、テレビのような受け身でいられる娯楽は、急激な変化が多く濃く強い断片的な感覚刺激を持ち、視聴者の受動性を促進します。

ロンドン大学で行われた研究では、高齢者の認知力低下にテレビがどれくらい関与しているかを理解するため、50代以上3,662人を対象に実験が行われました。被験者にはテレビの習慣を自己申告してもらい、言語記憶テストのデータが活用されました。結果的に1日3.5時間のテレビ視聴は言語記憶を低下させることがわかりました。また、視聴時間が長くなればなるほど、認知機能の悪化に影響することが、3時間視聴と3.5時間視聴の認知機能に対する影響を見て報告されました。

前期高齢者と後期高齢者に対するテレビの影響

前期高齢者(65歳~74歳の方)に対しては、生活機能とテレビを見ている時間、番組に関連性は見つけられませんでした。しかし、身体を動かしにくくなっている人ほど、コミュニケーションを積極的に取ろうとする行動や新しい情報を得ようと思う気持ちが増加することが報告されました。人との交流が少なくテレビを見ることで補うことや、人間関係への複雑な気持ち、情報を入手したい気持ちからテレビを見ていることが考えられます。介護が始まることで、周りとの交流をテレビで補う要介護者の気持ちが伺えますね。

後期高齢者(75歳以上の方)に関して、 生活機能とテレビを見ている時間、テレビを見る動機に関連性は見つけられませんでした。 一方、生活機能が低下していることと視聴頻度には特徴的な関連性が見受けられました。日常生活の中でも頭を使って行う動作(買い物時の金銭管理や服薬管理、電話の応対時のメモ取りなど)機能が低下してきる人ほど、ドラマや映画以外のすべての番組の視聴頻度が少ないことが報告されました。何となくテレビをつけて流しているから、「見た」という意識に繋がらず、個々の番組について記憶していなことがアンケート結果から感じらます。よく言われているテレビに関心を向けなくなることが認知症の初期症状と言われることに繋がりますね。介護生活だと、一日中ベッドの上でテレビを見ている高齢者の方も多いのではないでしょうか。

テレビ視聴時間の高齢者に対する影響

このことから、テレビを見ること自体は認知機能において問題は無いものの、視聴時間や視聴頻度などテレビとの関わり方が非常に大切なことが分かります。

認知症予防におけるテレビとの付き合い方

ながら作業で認知症予防に!

同時に2つ以上のことを行うことをデュアルタスク、または”ながら作業”と言います。例えば電話をしながらメモをする、ペットに話しかけながら散歩をする、などです。

ながら作業のメリット

テレビを見ながら日常生活に繋げることで、思考を動かし脳の前頭葉の部分を活性化させます。テレビを見ることで起こりがちなのが、情報に対して受動的になってしまうことです。そんな時に少しでも日常生活に繋げることで、記憶力、実行力を保持することができます。

テレビを見ながらの例

  • 洗濯物を畳む
  • 料理をする
  • ワイドショーを見ながら政治の問題について家族と話す
  • ドラマを見ながら「どの俳優さんが好きか」について話す
  • バラエティーのリズムネタをマネしてみる
  • 家族の好きな俳優さんの番組について内容を覚えておく
  • 気になった歌の歌詞を覚えてみる、歌ってみる
  • 家事ハックに関してのメモを取っておく
  • テレビで見た便利グッズを買い物リストに入れる
  • テレビで見たレシピをメモに取る

ベッドの上でもテレビの内容について家族と話したり、テレビを見ながらメモを取ることで、介護されていても簡単に認知症予防ができますね。

ながら作業のメリット

孫の写真をテレビで見て認知症予防!

テレビで子どもや孫の写真、動画が見られる「まごチャンネル」というサービスがあります。家のテレビに受信ボックスをつなぎ、スマホの専用アプリで動画や写真を送信すると、いつでも再生して楽しむことができます。「まごチャンネル」を見始めると”見始めました通知”がアプリに届くので、離れて暮らしていても元気にしているか分かります。

こんなお悩みをお持ちではありませんか?

  • 孫の写真や動画を親に見てもらいたくても、親がスマホを使えない、、、
  • 写真や動画が溜まってしまい、いざ会ったときには他にすることがあり見せることを忘れてしまう
まごチャンネルの利用メリット
  • 離れて暮らす家族との交流が増える
  • 同居する家族内でのコミュニケーションが増える
  • 誰かに話しかけやすくなる

実際に利用している方の声

孫の日々成長する姿をテレビで大きく見ることができて、毎日の生きがいになっています。

設置も、テレビで見るのも簡単で、おかげさまで毎日孫の様子が見られます。

テレビとアプリで日常生活に繋げる「テレビちゃん。」

愛媛朝日テレビが運営する、テレビ連動型アプリ「テレビちゃん。」はテレビでの放送がイベントになるというコンセプトのもと開発されました。テレビを見て終わるのではなく、次の行動に繋がるきっかけを「テレビちゃん。」から得られます。同局では、3分半の生放送クイズ番組『テレビちゃん。早押しライブQ』を通じ、リアルタイムでアプリからクイズ大会が開催されています。必要なことは木曜の夜8時54分にアプリ「テレビちゃん。」を起動して、テレビの前でクイズに参加するだけ。アプリを用いて参加すると、ドラッグストアやコンビニで利用できるデジタルクーポンが使えます。

毎週同じ時間帯に行動するという習慣ができることで、テレビを「見た」という意識に繋がりやすいこと、クイズという頭を使う行動で認知機能を使うことができること、またクーポンを使えるお店に訪れる意欲が出ることが認知症予防に非常に効果的です。

これは愛媛朝日テレビの番組での企画ですが、今後もまだまだ増えていくであろう、テレビとインターネットの繋がりに注視して、日々を楽しんでいきましょう。

テレビとアプリでどこでもイベントに

まとめ

テレビの視聴をしないよりはした方が良いですが、過度の視聴は認知機能、生活機能に悪影響を及ぼすので、ほどほどにすることをおススメします。また、ながら作業やまごチャンネル、アプリの活用で日常生活の他のこととテレビで得る情報を繋げることで認知症予防ができます。ぜひ家族や友人の方と一緒に試してみてください。

【参考文献】

在宅高齢者のテレビ視聴携帯と生活機能との関係 -基本チェックリストとの関係分析から-

テレビちゃん。

まごチャンネル

1日3.5時間以上テレビを見る高齢者は認知機能が低下する傾向が認められる(イギリス)

認知症に関するその他の記事

https://z-kaigo.com/2021/08/08/post-364/
https://z-kaigo.com/2021/08/08/post-436/