【高齢者用の宅トレ】認知症予防と進行抑制に効果的!コグニサイズで頭を使いながら運動しよう!

みなさんこんにちは。今回は、認知症予防と進行抑制に効果的なコグニサイズをご紹介します。運動習慣をつけて、認知機能を維持していきましょう。

この記事を監修して頂いた方
みきさん

介護福祉士7年目。グループホームで4年勤務した後、ユニット型特別養護老人ホームに移動。日々ツイッターで介護のノウハウを発信中

介護が必要になる理由

国民生活基礎調査によると、年を取るごとに増加するのが認知症患者数であり、高齢化が発展すると共に認知症患者数も増加することが分かります。また、介護が必要になる理由の多くが、認知症です。

要介護度 第1位   第2位   第3位  
総 数 認知症 18.0 脳血管疾患(脳卒中) 16.6 高齢による衰弱 13.3

要支援者

要支援1

要支援2

関節疾患

関節疾患

骨折・転倒

17.2

20.0

18.4

高齢による衰弱

高齢による衰弱

関節疾患

16.2

18.4

14.7

骨折・転倒

脳血管疾患(脳卒中)

脳血管疾患(脳卒中)

15.2

11.5

14.6

要介護者

要介護1

要介護2

要介護3

要介護4

要介護5

認知症

認知症

認知症

認知症

認知症

脳血管疾患(脳卒中)

24.8

24.8

22.8

30.3

25.4

30.8

脳血管疾患(脳卒中)

高齢による衰弱

脳血管疾患(脳卒中)

脳血管疾患(脳卒中)

脳血管疾患(脳卒中)

認知症

18.4

13.6

17.9

19.8

23.1

20.4

高齢による衰弱

脳血管疾患(脳卒中)

高齢による衰弱

高齢による衰弱

骨折・転倒

骨折・転倒

12.1

11.9

13.3

12.8

12.0

10.2

(単位:%)平成28年

要介護度別にみた介護が必要となった主な原因(上位3位)

認知症発症予防

認知症発症予防のために、薬物療法と非薬物療法の2つで対処がされています。

薬物療法:アルツハイマー病や脳血管疾患の危険因子である高血圧症,高脂血症,糖尿病に対する投薬や,アルツハイマー型認知症の発症遅延を目的とした塩酸ドネペジルの処方がなされています。しかし、こういった薬物療法は予防の観点において、限定的な効果しか期待できない状況にあります。

非薬物療法:生活習慣の改善として、定期的な運動の促進、抗酸化物質や抗炎症成分を多く含む食物の摂取、コミュニティ参加が期待されています。非薬物療法は、認知症発症を予防できるものとして認められています。

認知症の発症を促進すること

精神的なうつ状態や、転んだことによる頭部外傷や、行動意欲の減少に伴う対人コミュニケーションが減ってしまうことで、認知症が発症しやすくなります。

そのため、活動的なライフスタイルを確立していくことが認知症予防のために重要です。

高齢者の認知症発症

まだらぼけ(軽度認知障害MCI)期にアプローチすることが効果的

認知症ではないものの、正常とは言い難い軽度の認知機能が低下している状態は、まだらぼけと呼ばれていて、認知症を発症する危険が高いです。

まだらぼけは認知症に移行する可能性が高い一方、正常の認知機能に回復する場合もあり、認知症予防を積極的に行うことをおススメします。

たとえば、ある研究では記憶に問題を有する健忘型MCI高齢者の半数,および記憶以外の認知機能にも問題を持つMCI高齢者の3分の2が,3年間の追跡期間中にアルツハイマー病へ移行することが示されてます。

38.5%のMCI高齢者は,5年後に正常な認知機能へと回復するとした研究報告もあり、MCIの状態から回復することが認知症を予防もしくは発症を遅らせることにつながるものと考えられます。

初期の認知症「まだらぼけ」チェックリストとすぐできる対策7つ

有酸素運動をするだけでは足りない?

有酸素運動とは全身の筋肉を使って一定の時間継続して行う運動のことです。

一般的に有酸素運動をすることで得られる効果として、冠動脈疾患、高血圧、大腸がん、2型糖尿病、骨粗鬆症の発症率低下などがあります。また精神的にも不安感の軽減や脳の記憶機能が活性化されることを期待できます。

しかし、アメリカのランダム化比較試験のメタ分析によると、言語能力に関しては運動による機能向上が認められるが、記憶や実行機能、情報処理速度に関しては、特出した科学的効果が見られませんでした。この研究内では有酸素運動や筋力トレーニングを中心とした運動プログラムを用いており、MCI高齢者に対する運動による認知機能の改善および低下抑制の効果は限定的と考えられます。

認知症を発症する危険性が高く、発症予防や遅延の重要性が高いMCI高齢者にとっては、単純な運動プログラムだけでは、認知機能に対する効果は不十分になるかもしれません。

コグニサイズのすゝめ

コグニサイズ=コグニション(認知)+エクササイズ(運動)

コグニサイズとは国立長寿医療研究センターが開発した有酸素運動を記憶力や思考力も使いながら行う認知症予防を目的とした取り組みの総称を表した造語です。

ある研究でMCI高齢者を対象に1年間のコグニサイズの効果を調べた結果、言語能力のみならず,全般的な認知機能の低下抑制や記憶力の向上といった認知機能に対する良好な成果と脳萎縮の進行抑制についても認めることができました。特に運動の習慣に関して、週3回以上の実施で認知症の発症抑制により効果的だという研究結果があります。

コグニサイズのすすめ
効果的な運動法

運動強度:楽である~ややきつい、運動しながら会話ができるくらい

継続時間:一回の時間は短くてもいい(週40~50分)

実施時間帯:食後30分~1時間くらいに

実施頻度:毎日

おすすめコグニサイズ動画

本や資料だと分かりづらくなってしまうのが、運動の難しいところだと思います。

できなくても気にせず、まずは続けることが大切です。動画を見ながら一緒にぜひやってみてください。

立ってできるコグニサイズ

  1. 横ステップ
  2. 横プラス縦のステップ
  3. 腕を動かしながら童謡「ぶんぶんぶん」を歌う
  4. 3にステップを加える
  5. 腕を動かしながら童謡「うさぎとかめ」を歌う
  6. 5にステップを加える
  7. 5の振り付けを変えて腕を動かす
  8. 7にステップを加える

動画が進むにつれ、段階的に内容が高度になっていきます。誰かと一緒にやるとより楽しめますね。

座りながらできるコグニサイズ

  1. 数を数えながら指を動かす運動
  2. 指に番号をつけて、1,3,5の指を動かす
  3. 順番に指で輪っかを作り、最後に手を叩く
  4. 指を順番に動かして、手をくるりんぱする
  5. 数を数えながら足踏み
  6. 数を数えながら足と手を一緒に動かす

足が思い通りに動かせないこともあるかと思いますが、できる範囲で楽しく運動することが大切です。家の中で座りながら運動ができるので、ちょっと立つのは面倒くさいけど、運動がしたいときなどにぜひやってみてください。

まとめ

認知症は加齢とともに発症リスクが高くなるので、日々の運動で防げるところは防いでいきましょう。「宅トレ」という言葉がコロナ期に流行りましたが、家でコグニサイズを始めてみるのも一つの手ではないでしょうか?自分に負荷をかけすぎず、家族や友達と楽しみながらぜひコグニサイズをやってみてください。
運動は、習慣的に行うことも大切になるので、習慣化の仕組みも把握しておくことで継続的に実施していきましょう。

(参考文献:認知症予防のための運動療法